非ステロイド性抗炎症薬は急性の筋損傷に効果的か?

公開日: : 最終更新日:2019/05/04 スポーツ科学, 医学

たま~に頭痛があります.

いやいやご心配なく,パソコンの前に座りすぎね.

近年,多くの方がデスクワークを強いられ,同じような症状があるかもしれません.

そんなときは市販の「ロキソニン」のような鎮痛薬を服用されることがよくあります.

すなわち,ステロイドを使用してない,鎮痛薬.

非ステロイド性抗炎症薬.

英語でNonsteroidal Anti-Inflammatory Drugs,頭文字をとってNSAIDs.

どこの整形外科に行っても,鎮痛薬としていただけるメジャーな薬です.

 

非ステロイド性抗炎症薬とは?

ところで.

非ステロイド性抗炎症薬は炎症物質を減らします(Rao et al. 2010).

その結果,鎮痛や解熱という効果があります.

同時に副作用もありまして,胃腸への負担も大きいとされています.

胃腸薬とともに処方されることもありますね.

特に,動物では強く影響しすぎて非常に危険とされています.

 

 

急性の筋損傷に対する非ステロイド性抗炎症薬の効果

面白い文献がありました.

急性の筋損傷の後に,この薬をつかうと

筋力低下や筋痛だけでなく,筋の損傷を示す血液の指標も減るようです(Morelli et al.2018)

つまり,

ラグビーなどの激しいコンタクトスポーツで,

連戦つづきで,かつ,痛みを伴う場合には短期間であれば良好な効果があり.

即座に高いパフォーマンスを示す必要があるならば

使う効果があるということになります.

 

炎症を抑えることは良いことばかりか?

一方で,炎症反応を抑制することから注意が必要です.

やや長期的な視野で使用の是非を考えると

炎症反応という治癒に必要な期間が遅れるため,

結果的に完全治癒の時間は長くかかってしまうということになります.

 

アイシングも炎症を抑えるのか?

1978年にRICEを提唱したMirkin博士も同様の点に言及しています.

加えて,2014年頃にMirkin博士は自身のSNSでRICEの効果は半ば否定し,

その理由の一つにアイシングが炎症反応を抑制することを挙げています.
http://www.drmirkin.com/fitness/why-ice-delays-recovery.html

 

アイスバスも炎症を抑えるのか?

アイスバスなどの冷却の効果を調査した報告(Conen et al. 2017)では,

遅発性筋痛や主観的疲労度が介入による低下した一方で,

血中乳酸や疲労後の筋出力に特に影響を与えなかったと報告しています.

つまり,アイシング同様に客観的には変化がない点は一致し,

一方で心理的な効果はあるようです.

 

 

薬の扱いに関するご注意

最後にご注意ですが

薬の処方に関しては,専門家の判断が必要ですし,

公式戦等ではドーピングへの対応が必要です.

専門家とよく相談の上の判断をお願いします.

 

(参考)

Morelli KM
Effect of NSAIDs on Recovery From Acute Skeletal Muscle Injury: A Systematic Review and Meta-analysis.
Am J Sports Med. 2018; 46(1):224-233.

Praveen P. N. Rao
Nonsteroidal Anti-Inflammatory Drugs (NSAIDs): Progress in Small Molecule Drug Development.
Pharmaceuticals 2010;  3(5), 1530-1549.

Coen C. W. G. Bongers,
Cooling interventions for athletes: An overview of effectiveness, physiological mechanisms, and practical considerations.
Temperature (Austin). 2017; 4(1): 60–78.

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