ケガの後,アスリートが行うべき筋力トレーニングの考え方

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ケガを負ったあとのトレーニング,つまり,「リハビリテーション」におけるトレーニング理論に関して説明します.

リハビリテーションの時期

まずケガを負った場合にいくつかの時期に分かれます.

    1. ケガを負って直ぐの急性期,
    2. 組織治癒に必要な回復期,
    3. 積極的なトレーニングが可能な強化期,
    4. 社会参加の部分的復帰や完全復帰を行う復帰期となります.このように時期を分けた場合に以下のようにトレーニングを段階付けて行う必要があります.

     

    各時期のトレーニング

    急性期:
    (目的)
    筋収縮の再教育,筋萎縮の予防

    • 症状が治まった後に大脳の学習活動・認知活動を高める手法を選択します.
    • どういうことかというと,収縮すべき筋肉の位置を教えたり,ケガしてない側とケガした側にある動作を指示し,左右同じように動かせるかテストします.
    • なぜかというと,急性期においては痛みやその恐怖感があって,ケガする前とちがって上手く動かせなくなっています.十分能力があっても全く動かせない方もいます.それが持続してしまうと,上手く動かせるようになるために予想外に時間がかかることがあります.
    • そのため,目的とする動きができるようにメインの筋肉が上手く収縮するようにイメージしながら,練習する必要があります.
    • そして,長時間が動かしていないことで,筋も萎縮しています.萎縮した筋を再び元に戻すために,筋の持久性や筋の肥大を促すように中程度以下の負荷で繰り返し収縮させるようなトレーニングを選びます.

    回復期:
    (目的)
    関節運動の調節や関節安定性の向上

    • 各関節の滑らかなコントロール能力を高めるために,目的としない誤った動作(=代償動作)を避けながら,深層筋の緊張も確認しながら表層筋の強化も行います.
    • 筋の位置関係から表層にある筋を表層筋と言い,深層にある筋を深層筋といいます.深層筋は一般的に,位置関係から関節に最も近い位置にあるため,滑らかな関節運動を行うための能力が表層の筋よりも高いです.
    • そのため,トレーニングの初期は優先して深層筋を強化するため,低負荷かつ持久性の高い運動負荷を設定します

    強化期/復帰期:
    (目的)
    神経筋応答の強化・運動制御機構の向上

    • 徐々に元のスポーツ動作に復帰するために関節の安定性を維持しながら,高い負荷に適応できるように,段階的に負荷を増加させながら強度設定していきます.
    • そして,より難易度が高いメニューを行い,コントロール能力やパワー,持久力を改善させていきます.

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